|
K氏とN氏が来店される。
K氏が、「驚きましたよ。」というので私が「何がです。」と言い終わらないうちにふとN氏を見ると足に怪我をしているではありませんか「どうしたんですか。」
N氏.「もーまいったよ。ギターとベースを持っていて、階段から落ちたんだよあ−ダダダダダだんて。」
K氏.「笑ってはいけないとは思うんですがついハハハハハ。」 「そういう時ってスローモーションになるんですよね。」
N氏.「ギターとベースは無事だったけど。」
私.「ギターリストの鏡みたいな怪我のしかたですね。」
K氏.「私も去年入院しましたし、年なんですよ、みんな。」
私.「私が一番若い。」
K氏.「若いって1つしか違わないじゃないですか。」
N氏.「まあ、会社の有休も溜め込んでいるし、良い機会だから骨休めをしろっていう事だよ。ゆっくりギターでも弾くさ。」としばらくおやじ談議になってしまったので、
私.「ところでやっと出来て来たんですよ。SJ-200ハカランダのKen
Guitars10周年モデルが。」
K氏.「半年以上の遅れですね。相当前にオーダーしていませんでしたか。」
私.「そうですね。やっと出来て来たっていう感じです。ただ、待ったかいはありました。」「かなり良い鳴りっぷりですよ。」
「後、本体とは関係ありませんが、遅くなってしまったからか、洒落たサービス品が付いてきましたよ。」
K氏.「へー。中々カッコ良いじゃないですか。」
 |
N氏.「弾かせて。」「オレはアコギといったらマーティンなんだけどギブソンのジャンボボディは別
さ。それに、オレ、ハカランダの粒立ち良いサウンドが大好きだからね。」
K氏.「そういえば、 NさんハカランダのD-28使っていましたね。」
私.「Nさんは、エレキ持たせるとブルースになるのだけれどアコギを持たせるとアメリカの古いフォーク系になるんです。」
N氏.「ガハハハハ。ブルースもやるよ。」 N氏の弾いている音を聴きながらK氏.「やはりハカランダのジャンボは良いですねー。」
N氏.「これは良い。使える音だよ。」「もそもそした音や色気も何も無い音のアコギじゃ弾く気になれないからね。」
K氏.「確かにそうですね。」「私の場合、インディアンローズも嫌いではないですが、やはりアメリカンサウンドというとハカランダですね。」N氏が弾いている音を聴きながら
「透明度の高い音ですね。サスティーンも長い。」「それから、ギブソンの最上級のハコものって、めちゃくちゃ派手では無いけど凄く高級感があって大人のギターっていうイメージですね。」
私.「せっかく最上級のグレードのハカランダをブックマッチで使用して作るのですからペグも
ウェバリーにしました。出来て来て初めて音を出した時は感動的でしたよ。弦に触れると部屋全体に音が広がって行く。」
N氏.「前ケン・ギターズにあった51年製だったかなー、あのSJ-200が凄く良くて正に触れば鳴るみたいなギターでさ、良かったんだけどしばらくして来たら売れていてね。」「あのSJ-200がアコギのサウンドの基準の1つになっているんだけど、そういう基準でこのギターは凄く良い。」弾きながら「6弦の出方が良いねー。」「それにメイプルバックとはまた別
の魅力がある。」 |
K氏.「ハカランダの音がしている。」「私にも弾かせて下さい。」 K氏SJ-200を弾きながら「確かにこれは良い。バランスが抜群に良いし、レスポンスも実にリニアですね。」
と言いつつSJ-200を弾きまくる。
N氏.「こういうギターは、音がよく通
るんだよ。」
K氏.「エレクトリックギターもそうですが、 良いギターは音のバランスや解像度が高いし、本質的に音が太いからそうなんでしょうね。」
私.「私に弾かせて下さい。」と私がツッエペリンの天国へ階段を弾くとN氏が「ガハハハハハハ。だからオレは落ちたんだってば。」
K氏.「堕天使。」
私.「えー、何か違うな−。」
N氏.「ガハハハハハ。オレをネタにしないでよ。」
私.「ところでKさん、オールドのギブソンで年末に在った'59のJ-45が凄く良かったでしょう。ああいう、これがオールドギブソンサウンドだ、みたいなサウンドも出ているでしょう。」
K氏.「そうですね。さらにこちらの方が材の関係もありますが、もっと上品な面
があるように思いますね。」K氏再びSJ-200を弾き出し「ほんとバランスが良いし透明感のある音だな−。弾いていてとても気持ちが良い。」
「SJ-200のハカランダを弾いた事が無かったのですが、こう良いとは思いませんでしたね。」「後、この戦前のスタイルがとても雰囲気が良いですね。」
私.「音響的にはジャンボボディのひょうたん型は、ドレットノートの箱型より有利ではあるので、そういう意味では良い音が出易いともいえるかもしれませんね。
だからマーティンのオールドの様なドレットノートのギターの音は、材も作りも素晴らしいオールドマーティンでしか出せないところがあるんですよ。」
K氏.「オリジナルギターのエンジェルもひょうたん型ですものね。確かにドレットノート型は、マーティンのもの以外は今一つのものが多いですね。」
私.「実は、今回のSJ-200がとても良かったのでオールドには無いのですがもうワンサイズ小さいJ-180の大きさでハカランダバックのギターをオーダーしようと思っているんですが、まだ、私の分を含めてオーダーした全てのSJ-200が来ていないので全て着いてからにしようと思っています。」
「とにかくギブソンのアコギには、色々やってみたいものが沢山あるので色々とオーダーしていこうと思っています。」「また、もし希望するものがあれば、お客さんのオーダーギターのオーダーも可能です。」
K氏SJ-200を弾きながら「まあ、新品でこの音ですから弾き込んでいったらかなりの音になりそうですね。」
私.「私の分はまだ入荷していないのですが、手に入れたら大事に弾き込んでいきたいと思っています。」
K氏.「アコースティックギターに限らずギターは愛情を注ぐと良いギターになっていきますからね。」
N氏.「Kさんは、本当にギター好きだからなー。」
私.「オーナーが居ないギターって、手入れをしていても何か元気がない様な感じがしますね。」
K氏.「そうですね。愛用されているとオーナーに愛されているなというギター相をしている。」
N氏.「確かに在るよね。ギター相って。」
K氏70年代のストラトを手にして「このギターなんか凄く愛用されていた雰囲気がある。」
私.「実際、前のオーナーの方は実に良く弾かれる方でしたし長く愛用されていたんですよ。」
K氏そのギターを弾きながら「これは、良いギターだなー。」「こういうギターってネックのタッチも良いですよね。」「不思議なもので道具ってみんなそういう所がある。」
私.「昔、若い頃に、当時結構なお歳の大工さんの道具を触らせてもらった事があるんですが、金づち1つでも降り下ろしてみるととてもバランスが良いですよ。使い込まれている以外普通
の金づちなんですが。」「まあ、今は、エアーで、バッチン、バッチンと打っちゃいますからあまり金づちも使わないように
なりましたが。」
K氏.「分かりますね。」「今は、家の作り方も変わりましたからそういう人も減ったのでしょうね。そうそう、家も人が住まないとかえって傷む。」
私.「何本か持っていると何時も弾くギターとそうで無いギターが出来てしまって反省しています。」
K氏.「でもついつい増えてしまう。」
N氏.「ガハハハハハ。Kさんはマニアだからな。」
私.「ここに居る人は人のことは言えない。」
N氏.「オレの場合、ライブをやる時にメインのギターと同じ様なギターを用意しておかないと困るんだよ。現場で万が一メインのギターが不調になったり弦が切れた時予備がないとさ。」「弦が一本切れても一曲ぐらい何とかするけどそれでライブを最後までやるのはつらいからね。」
私.「でも、私、演奏途中でバインディングが外れてしまったギターを最後まで弾きまくっているNさんを見た事があります。」
N氏.「ガハハハハハ。あのギターにはまいった。」
私.「また話しは元に戻りますが、とにかくギターはきちんと調整して良い環境で良く弾いてあげると本当に良くなりますからね。」
K氏.「ひどい状態でも、手を入れて可愛がってあげると良くなりますからね。」
私.「時々、ギターをいじり壊したり、全然調整しなかったり、むちゃくちゃなセッティングをしたりして、まともに鳴らないのをギターのせいにしている人に
出会うことがありますがギターが可哀想ですね。」
K氏.「そうですね。」「どんなに良いギターでもそれではね。」
私.「普通、どんなギターでもしっかり設計、製作されていますから、ギターそれぞれのキャラクターや限界もありますが、
本来の能力を最大限に引き出してあげることを考えるべきなんですがそうでない方向にいってしまう。」
K氏.「訳の分からない事をあおっている所もありますからね 。」
私.「つまらないので、ネガティブな話しはよしましょう。」
K氏.「このSJ-200に張ってある弦は何ですか。」
私.「Ghsのライトゲージです。」 「Ghsは、妙にシャリシャリしたところが無いし、音の芯が太いですし張ってから最後まで鳴りが安定しています。」
「ロングライフですし、良く鳴るオールドギターを愛用している方々から特に支持されていますね。」
K氏.「確かにオールドや鳴りの良いギターには合うでしょうね。」
私. 「ところでKさん話しは変わりますが、この前臨時収入があったそうじゃないですか、何かおいしいものおごって下さいよ。」
N氏.「それは良い。」
K氏.「知りません。」
私.「うなぎなんか良いな−。」
K氏.「もう帰りますので、じゃ。」
私.「Nさん捕まえて。」
N氏.「オレは、足怪我してるんだってば。」
2001年6月 |