おやじの館アーカイブス
Vol.20 2002年12月 ついに完成 完全復刻アルミテールピース
参加者は、お客さんのK氏、N氏、私大蔵とたぬき女史です。

K氏が来店されて「長く掛かりましたがついに出来たんですね。」手にして「これは見事な出来だ。」

私.「Kさんが、作れ、作れと言うものだから。」

K氏.「はははは、何時も大蔵さんが言っているように研究すればハードウェアならオールドに近いものを作る事は可能ですからね。」

私.「そうですが、製品化、商品化となると大変ですから。」

K氏.「はははは、解ります。」「何が一番大変でしたか。」

私.「全部!!。」

K氏.「ははははは。」

私.「まず材質は、比較的簡単に判りましたがその後が中々進まなかったんです。」「金型を起こすのには、正確な図面 が必要ですのでオールドのテールピースを数個用意して図面を製作依頼しました。これは、今の技術で、コンピューターで比較的順調に進みました。」 「そして金型を製作させてテストショットを出してみたのですが、オールドのテールピースの裏側のアバウトな感じがない。かっちりし過ぎている。」 「そこで、製作を依頼している会社の人に言うと『それは、見本(オールド)は、アバウトな作りですが、うちはしっかり作りました。』となってしまって。」 「それは確かに普段はいかに綺麗な製品を作るかで仕事をしている人達ですから。」

K氏.「解ります。真面目ですからね。日本の工場は。またそれが誇りですから。」 「良い意味でのアバウトというのは難しい。」

私.「ところが流石プロですね。オールドの裏のアバウトな感じは、こういう理由でなっているからそうすればなると。」「ところがそうするには、金型をいじらなければならないと言われる。」「そういう事は、素人ですから簡単に出来るのかと思いきや電気放電で金型を加工していて、簡単な訳にはいかない。」「やってはテストショット、やってはテストショットになって。」

K氏.「大変そうですね。」

私「やっと完成したテールピースは、次にメッキ会社に出してメッキをするのですが、メッキをする為には削ったり磨いたりするのですが。Kさんもう分かりますよね。」

K氏.「はははははは、オールドはそこがアバウトですからね。決して変に丸くなっていないのにあちこち削られていて。 実際、オールドのテールピースを並べてみれば判りますがみんな微妙に形が違う。」

上がオリジナルのアルミテールピスです。
下が'59 Style Aluminum Tailpeceです。
上がオリジナルのアルミテールピスです。
下が'59 Style Aluminum Tailpeceです。
上がオリジナルのアルミテールピスです。
下が'59 Style Aluminum Tailpeceです
上がオリジナルのアルミテールピスです。
下が'59 Style Aluminum Tailpeceです
左がオリジナルのアルミテールピスです。
右が'59 Style Aluminum Tailpeceです
上がオリジナルのアルミテールピスです。
下が'59 Style Aluminum Tailpeceです

私.「私が、削った見本とオールドを見せてたのですが中々出来ない。」 「もちろんプロですので、削りの掛かっている方向とか全て理解してくれるのですが、つい加減してしまう。これで、また、時間が掛かってしまいやっと完成したという感じです。」

たぬき女史.「大蔵さん。とっても苦労していましたもの。」

そこへN氏が来店されて「遅くなりましたー。」「あーまたテールピースを沢山並べてもうマニアだなー。」

私「完成しました。オールドと同じ材、作りで、形状で。」それから今まで経緯を御説明すると。

N氏.「オレなんか、ただアルミになっただけで、凄く音が良くなったと喜んでいたけど音も違うのかね。」

私.「以前、Kさんと今までに作られたものの中でどれが一番オールド近いか、オールドのテールピースと比較した時、 一番にオールドに形、サウンド共に近かったのは、ここにあるA社のコピーモデルのパーツだったでしょう。」

K氏.「その国産A社のものが今ここにもあるんですが、ほら裏側を見ると日本的に湯口とかは 削ってしまって綺麗に仕上げてあるけど金型の割り方とか、湯口の後が微かに判るでしょ。 作りがオールドと同じなんですよ。材質は少し違うので重さは34g程ありますが。」

私.「一番オールドに近い作り方なんですよ、A社の80年代のものは。 形も近いし、だから音も似る。」

これが、あれが、とアルミのテールピースを比較するK氏とN氏。

K氏.「80年代にもともと、 アルミのテールピースが!と言い出したのはA社ですからね。」

私.「当時は、とにかく熱心にコピーモデルを作っていましたからね。」 「オールドを見る機会はほとんどなく、多くの事を熱心なコピーモデルやそのカタログで知ったものです。」

K氏.「オールドテールピースは30gから31gの間なんですが、こっちの80年代国産B社のものは、ほぼ同じ重さですが、金型の割り方、屋湯口の位 置がまるで違う。」

私.「形も違うし。」

K氏が、テールピースをぶら下げて軽く叩いて音を出しながら「ほらB社のものは音が鈍い。A社のほうがオールドのに近い音でしょう。」 「重さだけではない事が判りますね。」

私.「このC社のものは、B社の金型を利用して作られていますので同じ音です。」

K氏.「これが、同じとはびっくりしましたよ。」 「そして、このD社のものはやはり重さは同じですが、全然形が違うし、作りも違う。」 「当然音も違ってくる。」

N氏.「確かにこれはとても形が違う。」「それにA,B,C,D 社のものはかなり弦の通 る穴が大きいし、溝も大きいくて深いな。」



K氏.「それから、これが、今の、本家のものです。」「やはり、形、作り、サイズ、材と全てオリジナルとは微妙に違う。」と言って同じように軽く叩く。 「少し金臭いでしょう。」「これがオールド、( 叩きながら )澄んでいてい耳障りなところが無いでしょう。」

私.「今の、本家のものには、アンカーに掛かる部分が薄い別バージョンもあったらしいのですが、現在売られているものはそれです。」「これが、今回、Ken Guitarsで作ったものです。」

K氏.「今回のテールピースですか、むふふふふふふ。似ている。」「今回、作ったと知らなければ本物とと思ってしまいますよ。」 「この上側のラインなんかこうやって指で撫でるとまったく同じなのが良く判りますね。」K氏軽く叩きながら「ほら音もオールドに似ている。」

私.「材質、形状を同じするのは当然として作り方も同じにしないと同じ音になりませんから。」

K氏.「名前は決まりました?」

私.「'59 Style Aluminum Tailpeceにしました。」

N氏.「ところで、叩いた音は、確かに音は違うけれどギターに取り付けた時そんなに変わるの。」

K氏.「叩いて音を聴けば判りますよ大体のものは。」「叩いてみて、その音がデッドなもので良いためしはありませんし、 澄んだ音、サスティーンのあるものでダメなものはまずありませんしね。」

私.「音の違いは、実際に弾けば増幅されますからなお判る。」 「とにかく弾いてみて下さい。」とN氏にストックの59Les Paul Historic Collectionを渡す。早速弾きはじめるN氏「良く鳴るけどこのギターは強いて言えばここの音が弱いね。」

私.「今、'59 Style Aluminum Tailpeceに換えますから。」テールピースを交換して弾いて頂く。

N氏.「音の弱かったところが無くなったね。」

私.「それに音がクリーンになったでしょ。レスポンス、サスティーン共にさらに良く成っている。」 これをオリジナルの59年製のスタンダードに取り付けてみましたが、サウンドに遜色はありませんでした。」 「もちろんおりじなるは、永年ギターに搭載されていて、鳴りが良く鳴っていますので、上ではありますが。 」

K氏.「良く出来ました。」「感動ものです。」

私.「花マル下さい。」

K氏「.ハハハハ、あげましょう。」 と言いながらN氏からギターを受け取ると弾き始め「むふふふふ良いですね。」

N氏.「ギターは本当、色々事で音も変わるね。また、そこが、ギターっていう楽器の魅力だし。」

K氏.「まあ、ほんとに物を作るというのは、大変なエネルギーが要りますね。 過去にあったものものを再現するだけでも。」

私.「だから何時も思うのですが、初めて考えだして、それを具体的に物として作り上げるという事がいかに大変で偉大な事であるかと。」「ですからFenderにしろGibsonにしろ本当に凄いと思います。」

K氏.「そうですね。」 「50年代にエレクトリックギターの完成型を作ってしまったのですから。」

N氏.「でも本当マニアだね。」 「オレなんかどんなギターでもアンプで何とかしてライブをやるから。ガハハハハハハ。」

私.「電気では、どうにも成らない事がいっぱいある。良くないものはどうにも成らないでしょう。」

N氏.「うー贅沢は敵だ。ブルースマンはどんなセットでもやらなきゃいけないんだ。ガハハハハハハハ。」

K氏.「我々の世代ってよく、やらなきゃいけない、って言いますよね。別にいけない訳ではないんですが。はははははは。」

私.「Nさんてブルースマンだったんですか。」

N氏.「なにそれ、何時もブルースマンだって言っているじゃない。」

K氏.「ところで糸巻きはどうしましょう。」

私.「げー、無理ですって。無理。」

K氏.「後、何と言ってもバーブリッジも。」

私.「ただ、オクターブ調整のネジを付ければすむという問題じゃないんですから。また、金型を起こさないと。」

K氏.「分かりますよ。バーブリッジは、下側にボールエンド用の穴はありませんしね。」

私.「もう勘弁して下さい。」

K氏.「それは、やらなければいけないでしょう。」

私.「Kさん、別にやらなければいけないという訳ではないでしょう。」

K氏.「いや我々は、やらなきゃいけないと思う世代ですから。」 「がんばってね。」

私.「勘弁して下さいよ。」

N氏.「ガハハハハハハハ。」

2002年12月



この時、K氏.に言われたバーブリッジは、また、大変な時間とコストが掛かりましたが製品化しました。下の写 真がそれです。

上がオールドで、下3本が'56 Style Aluminum Barbridgeです。
上がオールドで、下3本が'56 Style Aluminum Barbridgeです。
左がオールドで、右3本が'56 Style Aluminum Barbridgeです。
左がオールドで、右3本が'56 Style Aluminum Barbridgeです。

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