Vintage Guitar Room
Vol.8
1952
Telecaster

Telecaster 1952年製

史上初の量産ソリッドギターとして1948年誕生したのがフェンダーブロードキャスターです。
アメリカのギターの歴史は、常により大きい音を出すギターを求めたものでした。それは、村のダンスパーティーのバンドのギターであり、1900年代に入りショービジネスが盛んになると広いホールというぐわいに、広いスペースでいかに多くの人に音を伝えるかが大きな課題でした。
初めは、金属弦を張る事でした。そして、1800年 代の終わりから1900年代初めかけてMartinやGibsonが登場すると、1930年代までどんどんギターサイズを大きくしていく事になります。(小さいサイズのギターも生産されました。)また、National,Dobroなどのレゾネーターギターも登場します。これは、音質もありますが音を大きくしようとした為でもありました。(ボディサイズを大きくせずに。) Gibson, Martinも同様の試みをしていますが、主流をなすモデルにはなりませんでした。
1920年代から1930年代にかけて大きな技術革新が起こります。トーキーの誕生と普及です。それはマイク(マイクを使って録音したものも)からアンプに、そしてスピーカー、そうです小さい音でも原理的には幾らでも大きくできる手段が手に入れたのです。
その時、Martinはドレットノートサイズまで、Gibsonは、SJ-200や、Super400までサイズを大きくしていたのですが(音を大きくしたいだけでは無く、見た目もあったのでしょうが )、マイクとアンプさえあれば、音に関してはそんなに大きなボディは必要としなくなったわけです。
GibsonもDobroもギターにマイクを付ける努力をしましたが、Martinは、あまり努力はしませんでした。(商業的戦略であえてしなかったのかもしれません。)
Gibsonは、ラインナップの中で大きなfホールのアーチトップギターにピックアップを付け始めます。そのスタートは、エレクトリックギターというよりスタンドマイクがギターに付いていたらとっても便利的なものでした。そのして、ある意味でソリッドギターの原形ともいえるエレクトリックスティールギターも誕生します。(言い忘れましたが、エレクトリックギターと同時にギターアンプも開発され作られました。)
そういう時代に、あのレオ・フェンダー が登場します。彼は、ラジオ屋でエレクトリック畑の人でした。どちらかというとアンプがメインという感じでしたがその得意分野を生かしてエレクトリックラップスティールを作ります。ビジネス的には、Kauffmanと会社を始めます。その会社は、K&Fという名でアンプとスティールギターを作ります。(K&FがFenderに変わった経緯などは、多くの本に書かれているので割愛します。) Gibsonの様な歴史も持たず、また、純粋な技術屋だったレオ・フェンダーは、革命的かつ画期的なギターを開発します。それは、ソリッドボディにデタッチャブルネックに2ピックアップのブロードキャスターです。(ソリッドボディのギターとしてビグズビーも同時期に登場します。)後になれば「なーだ」という事も最初に考え出すとい事は凄いことですし、それを考え出すだけでは無く物として完成させ、また、未だにそれを超える物が無いという事を見ても正に天才にしかできない事です。
ソリッドボディのアイデアは色々とありましたし、現にエレクトリックスティール ギターも存在していましたが、フェンダーの凄さは、ネックをネジ止めにしたことです。生産性は飛躍的向上し、また、万が一ネックがトラブルを起こしても直ぐに交換する事が出来るという画期的なこの構造はギターに革命を起こしました。
また、フェンダーのギターデザインは実に人間工学的に優れていてストラップで吊っても、座って膝にのせて弾いても直ぐベストなプレイしやすいポジションにギターがきます。その自然な感じを受けるギターのバランスとストレートなヘッドはギターの取り回しをとても良くしています。さらに、アッシュとストレートなメイプル ネックはギターの強度も飛躍的上げました。
現在生産されているエレクトリックギターの多くは、フェンダーの亜流に過ぎないと言っても良いでしょう。そして、50年代にフェンダーが出したエレクトリックベースは、音楽にも革命を起こしますがそれは、また、プレベ を取り上げる時します。

発売当初のブロードキャスターという名前は、グレッチに同名のドラムがあり変更を迫られます。1951年製からフェンダーは仕方なくロゴシール(フェンダーは、長い間ロゴはシールでした。)のフェンダーの文字の下にあったブロードキャスターとある部分をカットして使用します。これが、俗にノーキャスターと言われる物です。そして、1952年になるとテレキャスターという新名称を付けて販売します。これがこのページに紹介しているものです。
この頃までのテレキャスターのネックは厚さがほぼヘッドからボディまでが変わらない厚さのものでした。つまり、ヘッド側では幅に対して厚さがあり、ボディ側では幅に対して薄いという形状です。
材に関して言えば素晴らしいアッシュとメイプルを使用していて、固いハードウェア−とも相まってとても太くごついサウンドを出します。復刻ものとは次元の違うサウンドに初めて手にした人は驚きと感動を覚えると思います。



この頃のテレキャスター/エクスワイヤーにはジョイント部分のボディに張り出しがあるのが特徴。
また、ジョイントプレートにも上下があります。

搭載されているチューナーはクルーソンのシングルライン文字無しのタイプ。
ペグの摘む部分の厚みが後の物より薄いのがこの頃の特徴。

 

Vintage Guitar Room
Vol.8